孫子(孫子の兵法書)とは?

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孫子の兵法

『孫子』あるいは『孫子の兵法』という言葉を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。

言葉は聞いたことはあるけど、詳しく読んだことがないという方のために今回は『孫子』について触れてみたいと思います。
 

孫子とは?

『孫子』とは、中国の春秋時代の軍略家・孫武(そんぶ)が書いたとされる兵法書のことです。

孫武は、斉の国に生まれ、呉王・闔閭(こうりょ)のもとで将軍として活躍して、辺境の小国であった呉を覇権を争う一大勢力に成長させたと言われています。

孫武のことを指して『孫子』と呼ぶこともありますので、混同しないよう、このページでは『孫子(孫子の兵法書)』と記載することにします。
 

孫武が活躍した時代

孫武は、中国の春秋戦国時代に活躍しました。春秋戦国時代といえば、人気コミック『キングダム』で描かれている時代ですが、孫武の方が300年ほど先輩になります。

孫武が呉王・闔閭に仕えた紀元前512年当時、中国は春秋時代の後期に入り、有力諸侯が次々に没落し新興勢力が台頭してきていました。

混沌となりつつある時代を背景に、孫武は盟友・伍子胥(ごししょ)と共に兵を率い、大国・楚を滅亡寸前まで追い詰め、新興国であった呉を晋や斉などと覇権を争う強国へと導きました。
 

孫子(孫子の兵法書)とは

『孫子(孫子の兵法書)』は計篇・作戦篇・謀攻篇・形篇・勢篇・虚実篇・軍争篇・九変篇・行軍篇・地形篇・九地篇・火攻篇・用間篇の13巻から構成されており、戦略的な視点を中心に、勝つためのの考え方や戦い方がまとめられています。

なお、現存する『孫子(孫子の兵法書)』は、孫武と孫武の子孫で戦国時代に活躍した孫臏(そんぴん)が記し、三国時代に活躍し三国志で有名な曹操(そうそう)が注釈を付けたものであるという説が有力です。
 

孫子(孫子の兵法書)の特徴

孫武は、戦いの勝敗を論理的に分析・研究し、『孫子(孫子の兵法書)』の中で戦争とは勝つべくして勝ち、負けるべくして負けるものだということを体系化しました。

兵法書といえば、戦争に勝つための方策が細かく記載されていると思われがちですが、孫子(孫子の兵法書)の場合、「戦わずして勝つ」のが最善の策で、そのために自分たちが何をすべきかに重点を置いて説明しています。
 

1分でわかる孫子(孫子の兵法書)

難しいと思われがちな孫子(孫子の兵法書)ですが、全十三巻の要点を簡単にまとめてみました。

全十三巻のうち前半部分(一巻〜七巻)は戦略的な内容、後半部分(八巻〜十三巻)は具体的な戦術論が記載されています。

第一巻:計篇 戦力を比較・検討することの重要性とその方法について。勝敗は予測できる。
第二巻:作戦編 戦争は勝利を第一に考え、長期化を避ける。戦争は消耗戦だから、敵の物資や兵をうまく自軍に組み入れていくべきである。
第三巻:謀攻篇 用兵は戦わずして勝つのがベストだが、それができない場合は、敵味方の実情を把握した上で優位な状態を作り出し、敵を倒す。
第四巻:形篇 真の戦上手は、勝ちやすい状況で勝つべくして勝つ。敵味方の数や能力を算出して比較し、勝敗を予測しなければならない。
第五巻:勢篇 優れた兵法家は、兵士個々人の力を頼りにせず、軍全体の勢いを頼りにする。戦いの中では軍の勢いがポイントになる。
第六巻:虚実篇 敵の裏をかき、相手の手薄な部分を攻撃する。戦いでは相手の態勢に応じて臨機応変にしなければならない。
第七巻:軍争篇 本国を発して敵と対峙するまでの「軍争」が用兵の中では一番難しい。「軍争」を制する者が「地の利」を制する。
第八巻:九変篇 戦う場所によって九つの対処法があり、指揮官には五つの危険が潜んでいる。
第九巻:行軍篇 行軍・布陣には適した地形がある。組織を機能させるためには規律が大切で、法令を普段から誠実に守らせなければならない。
第十巻:地形篇 地形により取るべき戦術が異なる。指揮官は敵味方の状況を分析し、地形のことをよく理解しなければならない。
第十一巻:九地篇 地形の違いは大きく九つあり、それぞれによって戦略は異なってくる。指揮官は地形毎の戦略と軍の分散・集中を熟慮し、兵を一つにまとめて決死の覚悟を持たせるようにしなければならない。
第十二巻:火攻篇 火攻めには五種類あり、五通りの変化がある。戦争は消耗戦ということを理解し、利益が得られる時のみ兵を動かし、戦いは短期で決着させるべきである。
第十三巻:用間篇 戦争は国家の総力戦だから、敵情を知る為の出費は惜しんではならない。抜きん出た智者のみが優れた人物をスパイとして使いこなして、覇業を成すことができる。

孫子(孫子の兵法書)の特に前半部分(一巻〜七巻)までは、単なる兵法書ではなく、現代でも十分通用する普遍的な内容がほとんどですので、興味を持ったら是非、孫子の全文を読んでみることをおすすめします。

『孫子の兵法』全文へ

 

現代でも活用されている孫子の兵法

『孫子(孫子の兵法書)』は、曹操やナポレオンが愛読し、日本でも武田信玄が孫子の一節「風林火山」を旗印にするなど、洋の東西を問わず、後の軍事指導者や用兵家に大きな影響を与えました。

現代でも、ソニー創業者の盛田昭夫氏やソフトバンクの孫正義氏、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏などの著名な経営者が『孫子(孫子の兵法書)』を参考にしています。

『孫子(孫子の兵法書)』に書かれている、自分と相手の戦力を冷静に見極め「戦わずして勝つ」方法を模索する「負けない戦略」は、弱者・強者を問わず、勝ち残っていく手法として現代のビジネスで応用されています。

 

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