利に雑えて務め信ぶべきなり|孫子の名言

孫子の兵法

利に雑えて務め信ぶべきなり

今回は、孫子の兵法の一節で名言の一つでもある「利に雑えて務め信ぶべきなり」という言葉について見ていきたいと思います。

「利に雑えて務め信ぶべきなり」の一節

智者の慮は必ず利害に雑う。利に雑えて務め信ぶべきなり。害に雑えて患い解くべきなり。

このゆえに諸侯を屈するものは害をもってし、諸侯を役するものは業をもってし、諸侯を趨らすものは利をもってす。

「利に雑えて務め信ぶべきなり」は、孫子の兵法の第八章「九変篇」で出てくる一節です。この「利に雑えて務め信ぶべきなり」の一節を現代語に訳してみましょう。

「利に雑えて務め信ぶべきなり」の現代語訳

智者の思慮は、ある一つの事柄を考える場合にも「利」と「害」との両面から洞察する。利益になる事柄に害の側面を交えて考えることで、狙い通りに達成できる。害となる事柄に利益の側面も交えて考えることで、不安を消すことができる。

諸侯を自国の前に屈服させる時は、害悪ばかりを強調する。諸侯を利用する時は、一見すると魅力的な事業を用意する。諸侯を奔走させる時は、利益だけを見せるようにする。

これが現代語訳になります。

「利に雑えて務め信ぶべきなり」の解説

利に雑えて務め信ぶべきなり」は孫子の「九変篇」の中にある言葉の一つで、「九変篇」は、用兵における九つの対処法「九変」を中心に書かれています。

ちなみに「九変」とは、具体的には

  1. 足場の悪い土地には宿営してはならない
  2. 他国と三方で接する土地では他国と親交を結ぶ
  3. 本国から遠く離れた土地ではとどまらず素早く通り過ぎる
  4. 周囲が囲まれている土地では後退する計略を立てる
  5. 周囲が敵に包囲されている土地では必死に戦って脱出する
  6. 道の中には通ってはならない道がある
  7. 敵には攻撃してはならない敵がある
  8. 城には攻略してはならない城がある
  9. 土地には奪取してはならない土地がある

のことです。

今回取り上げる「利に雑えて務め信ぶべきなり」とは「利益になる事柄に害の側面を交えて考えることで、狙い通りに達成できる」という意味になります。

俗人は、物事を判断する際に自分にとって都合の良い面だけを見がちですが、良い面・悪い面の両方を考え合わせて決断していくことは、二千数百年の時を超えて、現代でも全く変わりありません。

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