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将は慍りをもって戦いを致すべからず
孫子の名言
今回は、孫子の兵法の一節で名言の一つでもある「将は慍りをもって戦いを致すべからず」という言葉について見ていきたいと思います。
「将は慍りをもって戦いを致すべからず」の一節
それ戦勝攻取して、その功を修めざるは凶なり。命づけて費留と曰う。
ゆえに曰く、明主はこれを慮り、良将はこれを修む。利にあらざれば動かず、得るにあらざれば用いず、危うきにあらざれば戦わず。主は怒りをもって師を興すべからず、将は慍りをもって戦いを致すべからず。
「将は慍りをもって戦いを致すべからず」は、孫子の兵法の第十二章「火攻篇」で出てくる一節です。この「将は慍りをもって戦いを致すべからず」の一節を現代語に訳してみましょう。
「将は慍りをもって戦いを致すべからず」の現代語訳
戦いで勝利を収め、戦果を得たにもかかわらず、それがもたらす戦略的成功を手に入れず、だらだら戦争を続けるのは最悪の行為である。国力を物資や人員の無駄使いである。
だから、聡明な君主は、すみやかに戦いを終結させようと熟慮する。優れた将軍は、戦いを短期決着させようとし、利益にならなければ動かず、得るものがなければ軍を動かさず、危険がなければ戦わない。君主は、一時の怒りの感情から軍を動かしてはならない。将軍は、一時の憤りに駆られて戦いをしてはならない。
これが現代語訳になります。
「将は慍りをもって戦いを致すべからず」の解説
「将は慍りをもって戦いを致すべからず」は孫子の「火攻篇」の中にある言葉の一つで「指揮官は、一時の憤りに駆られて戦いをしてはならない」という意味です。
古今問わず、組織を率いる長は冷静沈着であるべきです。怒りの感情に任せて行動を起こしてしまうと、ライバルに付け入る隙を与えてしまうだけでなく、指揮官の判断が、大きく組織全体に影響を及ぼす可能性があることを肝に命じておかなければなりません。