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敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし
孫子の名言
今回は、孫子の兵法の一節で名言の一つでもある「敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし」という言葉について見ていきたいと思います。
「敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし」の一節
兵法は、一に曰く度。二に曰く量。三に曰く数。四に曰く称。五に曰く勝。
地は度を生じ、度は量を生じ、量は数を生じ、数は称を生じ、称は勝を生ず。ゆえに勝兵は鎰を以て銖を称るがごとく、敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし。
「敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし」は、孫子の兵法の第四章「形篇」で出てくる一節です。この「敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし」の一節を現代語に訳してみましょう。
「敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし」の現代語訳
兵法とは、第一に「度」(戦場の状態や地形を考えること)、第二に「量」(投入すべき物資を考えること)、第三に「数」(動員すべき兵員数を考えること)、第四に「称」(敵味方の数や能力を比較すること)、第五に「勝」(勝敗を予測すること)である。
戦場を観察して状態や地形がわかれば、それによって投入すべき物資の量がわかる。投入すべき物資の量がわかれば、それによって動員すべき兵員数が決まる。動員すべき兵員数が決まれば、それによって敵味方の数や能力を比較することができ、それによって勝敗を予測することができる。だから、勝利する軍隊は、重い重りで軽い重りを測るように余裕があるし、負ける軍隊は軽い重りで重い重りを測るように無理がある。
これが現代語訳になります。
「敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし」の解説
「敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし」で出てくる「鎰」「銖」は古代中国で使われていた重さの単位で、「鎰」は約384g「銖」は約0.6g となります。
孫子はこの一節で兵法について説明し、兵法の観点から彼我の戦力を比較し、勝敗を予測することの大切さを説いています。そして、自軍の戦力が敵を大きく上回っているなら勝ち、敵を大きく下回っているなら負けるわけです。
戦力を冷静に比較できず、希望的観測で戦いに挑むなら「負けるべくして負ける」のは当たり前のことですが、多くの人が犯す過ちでもあります。