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進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり
孫子の名言
今回は、孫子の兵法の一節で名言の一つでもある「進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり」という言葉について見ていきたいと思います。
「進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり」の一節
進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり。退きて追うべからざるは、速かにして及ぶべからざればなり。
ゆえにわれ戦わんと欲すれば、敵、塁を高くし溝を深くすといえども、われと戦わざるを得ざるは、その必ず救う所を攻むればなり。われ戦いを欲せざれば、地を画してこれを守るも、敵、われと戦うを得ざるは、その之く所に乖けばなり。
「進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり」は、孫子の兵法の第六章「虚実篇」で出てくる一節です。この「進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり」の一節を現代語に訳してみましょう。
「進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり」の現代語訳
自軍が進撃しても、敵軍がそれを迎え撃てないのは、敵の隙を衝いた進撃だからである。自軍が退却しても、敵軍が阻止できないのは、こちらの動きが素早く距離が開いて追撃できないからである。
もしこちらが戦いを望んだ時、敵が土塁を高くし、堀を深く掘って守りを固めていても、どうしても戦わざるを得なくなる。それは、敵が救援に出ざるを得ない地点を攻撃するからである。もしこちらが戦いを望まない時、地面に防衛戦を描いただけでも、敵が防衛戦を突破して来れないのは、敵の関心を別の方向にそらすからである。
これが現代語訳になります。
「進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり」の解説
「進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり」にある「虚」とは「備えが手薄なところ」という意味です。相手の備えの薄いところを突けば、相手は迎え撃つことができません。
このように常に相手の「備えの厚いところ(実)」と「備えの薄いところ(虚)」を考え、弱点があればそれを突き、長所は避ける、あるいは長所を長所でなくすべきだと孫子は説いています。