目次
兵は多きを益とするに非ざるなり
孫子の名言
今回は、孫子の兵法の一節で名言の一つでもある「兵は多きを益とするに非ざるなり」という言葉について見ていきたいと思います。
「兵は多きを益とするに非ざるなり」の一節
兵は多きを益とするに非ざるなり。ただ武進することなく、もって力を併せて敵を料るに足らば、人を取らんのみ。それただ慮りなくして敵を易る者は、必ず人に擒にせらる。
卒、いまだ親附せざるにしかもこれを罰すれば、すなわち服せず。服せざればすなわち用い難きなり。卒すでに親附せるにしかも罰行なわれざれば、すなわち用うべからざるなり。ゆえにこれに令するに文をもってし、これを斉うるに武をもってす。これを必取と謂う。
「兵は多きを益とするに非ざるなり」は、孫子の兵法の第九章「行軍篇」で出てくる一節です。この「兵は多きを益とするに非ざるなり」の一節を現代語に訳してみましょう。
「兵は多きを益とするに非ざるなり」の現代語訳
軍は兵員が多いほどよいというものではない。猛進しないようにして、戦力を集中して敵情をよく考えて行動すれば勝てる。よく考えることもしないで敵を侮っている者は、きっと敵の捕虜にされてしまうだろう。
兵士たちがまだ将軍に懐いていないのに懲罰を行なうと、彼らは心服しない。心服しないと十分に働かせることができない。反対に、兵士たちがもう懐いているのに懲罰を行なわないでいると、規律が乱れて、彼らを働かせることはできない。だから、兵を指導するにあたっては「暖かさ」 をもって行い、命令するにあたっては「厳しさ」をもって行う。これを必勝の軍という。
これが現代語訳になります。
「兵は多きを益とするに非ざるなり」の解説
「兵は多きを益とするに非ざるなり」は孫子の「行軍篇」の中にある言葉の一つで「軍は兵員が多いほどよいというものではない」と言う意味になります。
組織人員が多いことは「力」です。しかし、孫子が言う通り、多ければ良いというものではありません。「烏合の衆」という言葉もある通り、ベクトルの違う人達がいくら大勢集まっても「力」は発揮できません。
中小企業が大企業に勝つポイント、大企業が中小企業に下克上を受けないポイントの一つが、組織の統率力です。人員数をどれだけ組織力に変えられるかが真の「企業力」と言えるでしょう。