【キングダム】信〜奴隷から大将軍を目指す熱血漢

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キングダムと春秋戦国時代

週刊ヤングジャンプで2006年から連載されている「キングダム」は紀元前3世紀の春秋戦国時代を舞台とした史実を基にした歴史漫画です。2012年にはアニメ化、2019年には山﨑賢人さん主演で映画化もされ老若男女を問わず絶大な人気を誇っています。

中国史上初の中華統一を目指す秦国を中心に様々なキャラクター達が活躍し、壮大な合戦や頭脳戦を繰り広げていることが「キングダム」の魅力の一つです。

強すぎる武将同士の一対一の激しいバトル、天才軍師同士の数十万人の軍を動かしての計略戦、文官が激論を交わす政争など、実在した各国の王や武将をモデルとした様々な個性的なキャラクター達が毎回手に汗握る重厚なドラマを生み出しています。

そんな「キングダム」の人気キャラクターの中から今回は熱血主人公・信(しん)を紹介しましょう。
 

信が目指すのは
中華で一番の天下の大将軍

「キングダム」の世界では各国の軍同士の大規模な合戦が主な戦いの舞台となります。必然的に作中でも数千~数十万人規模の集団戦が描かれるのですが、軍の勝敗は軍を率いる将軍によって左右されます。

数万人以上の兵士を束ねて戦いを有利に導く将軍達、そんな将軍の中でも中華全土に名を轟かす天下の大将軍になるのが「キングダム」主人公の信の夢です。

作中で信は活躍を重ね昇進し、自身の名がついた飛信隊を率いていて、現在は将軍の一歩手前である5,000人の兵士をまとめる五千人将と呼ばれる地位についています。

現在、作中で行われている戦いで大活躍を挙げているため、無事に戦いが終われば信の将軍就任は間違いなしでしょう。
 

奴隷から天下の大将軍へ
信のこれまでの軌跡

将軍まであと一歩の地位まできた信ですが、実は、初登場時の信は奴隷の少年でした。奴隷の身でありながら天下の大将軍を夢見る信は、同じく奴隷で幼馴染の漂(ひょう)と共に日々特訓に明け暮れていました。

そんなある日、偶然通りかかった秦国の重臣である昌文君(しょうぶんくん)と出会い、秦国の大王である嬴政(えいせい)の影武者として漂が仕官することで、物語が動き出します。

嬴政の弟によるクーデター、幼馴染・漂の死、後の始皇帝である嬴政との出会い、玉座奪還の戦いを経て、信は中華統一を目指す嬴政の言葉に導かれ、ただの夢としてではなく意識した目標として、天下の大将軍を目指すようになります。
 

戦いを重ね将軍の器へ

秦国大王である嬴政に協力したことで、奴隷から脱却した信は天下の大将軍になるために様々な戦いに参加します。

初めて参加した魏国との合戦から敵の将を討つなど、活躍した信は戦いを重ねるごとに武功を重ね、次々に昇進していきました。

大将軍であった王騎(おうき)や麃公(ひょうこう)、その他の将軍達から合戦の仕方、中華を統一することの意義など様々なことを学び、初めは奴隷だった信が大将軍に相応しい実績と能力を次第に身に付け、周囲にも認められていく。奴隷から天下の大将軍になるという痛快な信の立身出世の物語がファンを惹きつけています。
 

秦の危機を救った合従軍編の大奮闘

信は参加するどの戦いでも敵将を討ったり、大軍を破ったりと活躍をしていますが、特に印象的な活躍をしたのは、作中屈指の人気を誇る合従軍との戦いでしょう。

合従軍との戦いは戦国春秋時代に7大国と呼ばれた国のうち秦国を除いた6つの国(斉国は文官の活躍により途中で出兵取り止め)が合従軍となり秦国を攻め、秦国最大の危機となった戦いです。

当時千人将の立場で参加した信は大将軍麃公の下で趙国の将軍を打ち破ったり、大王・嬴政と共に、合戦を抜け出してきた敵部隊と蕞(さい)で決戦したりと大活躍します。

中でも信の師匠でもあった王騎、麃公といった秦国の大将軍を撃破した作中最強キャラクター龐煖(ほうけん)を一対一の戦いの末、撃退したのは作中屈指の名シーンです。
 

信のモデル李信は
歴史上でも有名な大失態を犯した武将

「キングダム」のキャラクターの多くは、中国を始めて統一した始皇帝のように実在した春秋戦国時代の武将や政治家などがモデルになっており、主人公である信にももちろん実在したモデルがいます。

そのモデルとは、当時秦国で活躍したと記録されている将軍・李信です。

「キングダム」の主人公のモデルとなるくらいですから歴史上に名を残す偉大な功績を残している人だろうと期待する人もいると思いますが、実はこの李信は、中国史でも最悪レベルの大失態を犯した将軍として有名なのです。
 

楚国を征服する大遠征の将に任命

中国の歴史書『史記』の記述によると紀元前225年に7大国の一つである楚国を攻めるために、秦国大王・政は将軍達に「楚国を攻めるのに必要な部隊の人数はいくら必要か?」と問いかけました。

この問いに対し李信は「20万人もいれば十分でしょう」と答え、当時の大将軍・王翦は「60万人は必要でしょう」と答えました。

李信と王翦の答えを聞いた大王・政は歴戦の大将軍である王翦も年老いて弱気になっているのだろう、若く勢いのある李信将軍の言う通り20万の部隊があれば十分だと判断し、李信を楚国遠征の将に任命します。
 

楚国大将軍・項燕の計略で大敗

同じく秦国の将軍であって蒙恬(もうてん)と共に楚国を攻める李信は、楚国遠征の初戦で大勝し、楚国を追い詰めていきました。

しかし、楚国の大将軍・項燕(こうえん)の計略で奇襲に遭い敗走します。この戦いで李信は部隊を壊滅させるほか、7人の武将を失う大敗を喫してしまうのです。その後は60万の部隊を率いた王翦が項燕らを破り、楚国を滅ぼします。

このように史実の李信は、中国史に残る大敗の将として名前を残しています。

「キングダム」でも活躍する王翦将軍や楚国大将軍・項燕も登場するこの戦いは、間違いなく今後作中でも描かれることになるでしょうが、ここまで大活躍を続けてきた信が敗北し、7人もの武将を失う戦いを作者の原先生がどう描くのか今から非常に楽しみです。
 

史実から見える
これから信に訪れる戦いと今後の期待

史実により今後大失態を犯してしまうことが予想されている信ですが、別の戦いでは活躍した記録が残されています。

まず紀元前226年に王翦、王賁(おうほん)の親子が7大国の一つ燕国を攻略した際に燕の皇太子だった丹を捕まえます。また、楚国での大敗後の222年にも燕王喜を捕虜とし燕を滅ぼし、趙国が滅亡した後の趙国王族が樹立した代も滅ぼしました。

そして221年には王賁、蒙恬と共に最後に残った7大国である斉国を滅ぼし中華統一を果たします。

現在、作中では紀元前236年の趙攻めの合戦が描かれているため、これらの戦いは作中時間でも10年以上先になります。信と共に将軍を目指す王賁や蒙恬と中華統一を果たすシーンは現在の合戦に奮闘する3人を見ていると早く見たくなりますね。

史実では、その他の戦いに李信が参加した記録はありませんが、「キングダム」世界では、既に信は様々な史実に残る戦いに参加しているので、今後も重要な戦いには参加するでしょう。

現在の合戦が終わった後も史実では重要な戦い、事件が続き、史実を知っているファンは作者の原先生が史実を漫画の中でどう膨らませるのかも楽しみにしているようです。史実を知っているとより一層「キングダム」の世界が楽しめますね!

 

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